心地よい打鍵感や、高い耐久性、バックライト機能などのデザイン性によりデスクワーカーやゲーマーに人気の高い「メカニカルキーボード」。
メカニカルキーボードとは、1つ1つのスイッチが独立した構造になっている「メカニカルキースイッチ」が採用されたキーボードのことをいいます。
メカニカルキーボードを選ぶ理由のひとつでもある「心地よい打鍵感」は、スイッチに内蔵されたバネの反発力によって生まれています。
キースイッチ(軸)の種類によって打鍵音や押し心地が異なるので、自分に合ったものが選べます。
中には「Hot-Swap(ホットスワップ)」による軸の交換が可能で、キーを押下したときの反応速度や打鍵音を自分好みにカスタマイズ出来るものもあります。
筆者もメカニカルキーボードをカスタマイズして色々な打鍵感や音を楽しんで作業しています。
しかし、ホットスワップ対応と分かっていてもやり方が分からないという方もおられると思います。
・違う打鍵音で使用したい。
・周りに配慮して静音軸に変えたい。
・キーキャップを変えてイメチェンしたい。
・軸の交換方法が分からない・・・。
という方のために、今記事では
【ホットスワップ対応メカニカルキーボードのキースイッチの交換方法】を分かりやすく解説します。
軸の交換はせずキーキャップのみの交換がしたい方も、外し方や取り付け方は同じなので参考にしてみてくださいね。
軸の種類と特徴もざっくりとご紹介していますので、お役に立てればと思います。
ここで注意しておくのが、そのキーボードがホットスワップに対応しているかの確認です。
もしもホットスワップに対応していないもののスイッチを無理やり引き抜いてしまうと、故障の原因になります。
既存のメカニカルキーボードをカスタマイズする場合は一度、メーカーの公式サイトや、購入したお店(ネットショップなら購入した商品ページ)で確認することをおすすめします。
今から購入して揃える方も、店頭ならお店のスタッフ、ネットショップなら商品の概要やレビューに目を通し、ホットスワップ対応のものかを確認してから購入してくださいね。
ケーブル類は外して、電源をオフにしておきましょう。
今回はこの『YUNZII KC84 Pro』のキースイッチを実際に交換しながら解説します。
代表的なものも含め、何種類かのキースイッチの特徴の簡単な説明を記載しましたので参考にしてください。
もう特徴は既に分かっていて「これにする!」と決めている方は、次の項目までスキップして下さいね。
・青軸 【爽快なクリック音】
青軸は、カチャカチャと高音のクリック音が特徴です。
はっきりとしたクリック音があるので、打ち間違いも比較的しにくく、爽快な打鍵音が好きな方に人気です。
大きな音がするため、複数人でVCなどを繋げてプレイするゲームで使用する場合はあまりおすすめしません。
・赤軸 【静音】
赤軸は、キーを押下した際のクリック感が少ないのが特徴で、静音性にも優れ、長時間のタイピングにも向いています。
とはいえメーカーによって静音性は多少異なるので、赤軸だと必ず静音性が高いわけではないので注意が必要です。
マイクもタイピングの音を拾いにくいので、ゲーム配信をしたい人にもおすすめです。
・茶軸 【クリッキーなバランス型】
茶軸は、青軸と赤軸の間のような使用感が特徴の軸になります。
青軸ほど大きな音はせず、程よいクリック感があるので、正確性のいる作業にも向いています。
初めてメカニカルキーボードを買う方にもおすすめな軸です。
・銀軸 【静音スピード軸】
銀軸はキーを押下したときのPCの入力認識速度が早いのが特徴の軸です。
そのため、アクションやシューティングといった素早い反応が必要なゲーム向けです。
ゲーム中の瞬発力を高めて、ハイパフォーマンスなプレイをしていきたい方におすすめです。
・黒軸 【重い静音軸】
黒軸は、高いバネ圧が特徴の軸です。
青軸のようなしっかりとした押し心地が欲しいけど、クリック音はなくしたい方におすすめです。
キーが元の位置に戻るのが早いのでスムーズな入力が行えますが、長時間の作業は指疲れしやすいです。
・黄軸(イエロー軸) 【静音スピード軸】
黄軸は、静音性に優れていて、銀軸のようにキーの反応速度が速いのが特徴の軸です。
赤軸より高反発で、キーの戻りも早いので高速タイピングに向いています。
・静音赤軸(ピンク軸) 【高い静音性】
ピンク軸は、サイレント軸と呼ばれることもあり、メカニカルキースイッチの中で1番静音性の高い軸です。
軽い押し心地で、打鍵音と底打ち音がないので、メカニカル特有のカタカタ音が好きな方は物足りなく感じるかも知れません。
使用する場所や環境で、周りに配慮して作業したい方におすすめの軸です。
・緑軸(グリーン軸)【強いクリック音】
緑軸は、青軸のような強いクリック感で、最も押下圧が強く、キーを押すときの力が必要な軸です。
しっかりとした打鍵感が欲しい方におすすめですが、青軸同様にゲーム配信やオフィスワークでの使用は向いていません。
・オレンジ軸 【静音バランス型】
オレンジ軸は、青軸に比べるとクリック音は小さく、反応速度は黄色軸より遅いのが特徴です。
オレンジ軸は静音性・操作性のバランスが一番整っている軸になっています。
※ スイッチは様々なメーカーから製作されており、メーカにより多少の使用感の誤差があります。
キースイッチを用意する際にも気をつけないといけない点があります。
軸交換をするキーボードと互換性があるかどうかの確認をしておくことと、キーボードにバックライト機能が備わっている場合、スイッチのハウジングデザインが光りを通すものかどうかを確認しておくことです。
例えば、黒っぽかったり透過性のないデザインの場合、バックライトの光の通り方が変わってしまうこともあります。
Gateron製の青軸からKailh製のオレンジ軸に交換しようかな!
こちらは、軸だけを交換して元々ついていたものを使用する場合は必要ありません。
キーボードがJIS配列かUS配列によって、きちんと該当するキーキャップが揃っているか確認してから行いましょう。
この2つはキーボードなどを購入したときに付属品としてついていることが多いです。
2in1になっているものもあります。
キーキャップやキースイッチを外した際に、普段見えない部分が露わになるので、これを機に塵などを取り除き綺麗にしておきます。
交換作業中に、手にスイッチの潤滑剤やグリスが付着してベタベタしたり、筐体の表面に伸び広がってしまうことがあるので準備しておくと安心です。
まずキーキャップを全て外していきます。
元の配置に戻すときのために、キーボード全体の写真を撮っておくことをおすすめします。
キーキャッププラーの輪っか状になっている部分を、キーキャップを挟むように差し込み、角に引っ掛けて引き抜きます。
↓
キーキャッププラーの大きさにもよりますが慣れて来ると複数個連続して取り外せます。
全部外すとこんな感じです。根気のいる作業が続きますので、休憩しながら行きましょう!
次にキースイッチを取り外していきます。
スイッチの上下にツメがあるのでキースイッチプラーの先で押さえて引き抜きます。
↓
大きく角度を付けて引き抜いてしまうとスイッチ底面のピンが曲がってしまったり、ツメがしっかりと押さえれてないのに引き抜いてしまうと、ハウジング部分が壊れてしまうことがあります。
スイッチの上からよく見るとメーカー名が入っているのが確認出来ます。
(「Gateron」や「Kailh」や「AJAZZ」などなど)
メーカー名が入っている方にピンがついていますので、ツメを押さえたあとピン側を先に少しだけ浮かせて、次に反対側を少し浮かせて、最後に真っ直ぐ引き抜くと上手く外れやすいです。
キースイッチが刺さっている方向はキーボードによって反対向きのものもありますので、注意してくださいね!
普段見えなかった部分のホコリや塵を、掃除機や綿棒で綺麗にお掃除します。
ハンディクリーナーのブラシなどでスタビライザー(長いキーの軸の両側についている支え)についているグリスを伸び拡げてしまわないようにご注意ください。
細かい部分は綿棒で拭き取ったり、愛情を込めて綺麗にしましょう♪
ピンの付いている方向を確認しながらスイッチを一つづつ丁寧に挿して行きます。
↓
このとき気をつけることは、歪んだ角度から無理に差し込んでしまうとスイッチのピンが曲がったり折れてしまって、最悪使えなくなってしまいます。
キーボードに対して垂直に、優しく載せてから真っ直ぐに押し込むと上手く挿さります。
全ての箇所に取り付けられたら、ここで一度不具合が無いか確認してみましょう。
PCなどに繋げて、押したキーに対してきちんと反応しなかったり、LEDスロットを内蔵している軸の場合きちんと光らなかったりと、おかしいなと思ったものがあれば、ピンが曲がってしまっている可能性が高いので抜いて確認してみてください。
ピンが曲がってしまっても諦めずに、ヤットコなどで曲がったピンを慎重に挟んで真っ直ぐに直すと、使えるようになることがあります。
再びケーブル類は外して、電源をオフにしておきます。あと少しです!
最後に配置に気をつけながらキーキャップを取り付けて行きます。
撮っておいた写真があれば確認しながら取り付けていくとスムーズに終わります。
長いキーを取り付ける際はスタビライザーの部分もしっかりと押さえて取り付けてください。
取り付けられました!疲れたぁぁ!
青軸からオレンジ軸に変わり、静音性が上がりました。
キーキャップも全面ピンクに変わりイメージチェンジを遂げました。
メカニカルキーボードのキースイッチの交換手順をご紹介しました。簡単に手順をまとめると。
- キーボード全体の写真を撮っておく
- キーキャップを全て外す
- キースイッチを全て外す
- 見えなかった部分の塵や汚れを取り除く
- キースイッチを取り付ける
- 動作確認をする
- キーキャップを取り付ける
以上です!
軸交換が出来ると、メカニカルキーボードの楽しみ方が更に広がります。
スイッチと合わせるキーキャップの素材だったり、厚みだったり、構造によっても音の響き方が変わったりします。
ホットスワップ対応キーボードを、自分の好みの押し心地や打鍵音にカスタマイズして、自分だけのオリジナルのキーボードづくりを楽しみましょう!